YELLOW STONE・・・

 
まだ私も若く23歳。なぜかアメリカに一人だけで行きたかった・・
ただただ広い所を見たかった・・砂漠を見たかった・・
              それだけだった。



私はモンタナ州のボーズマンに降りたった。1990年3月のことで
ある。まだアメリカが安全な時代だった。
 

モンタナ州のこの空港は、超ローカルな空港である。ローカルな空港で
はあるが、イエローストーン国立公園の玄関口としてはある程度有名
である。
冬には白鳥が渡って来るのか、天井からは白鳥の黒い?オブジェが下
がっていた。到着したのは6:00PM・・。他の搭乗客は皆家族が迎え
にきた家族とともに去り、ロビーにはやっとの思いでモーテルに予約を
入れた私だけになっていた。         

3月とはいえ、ここは紛れもなくロッキー山脈の真っ只中。アメリカで
迎えた最初の朝は、私の23の誕生日であった。日本との時差の関
係で昨日も誕生日で、日本の友達に祝ってもらったばかりだった。
南国九州生まれの私は生まれて初めて見る大雪に大感激。

   
もっとも、今思えば日本の中国地方まで行けばどこででも見られた雪
景色だった。何はともあれタクシーに乗り込み目指すは、イエロー・スト
ーン国立公園!!
   タクシーの中で
モンタナ州と、アイダホ州。それにワイオミング州との州境に囲まれた
ウエスト・イエローストーンの町が今日の宿泊地。明日から始まる本
格的な旅を前に、今夜泊まる、HO−HUMモーテル(確かこのような名前だっ
た。)
のおばさんから、ブーツを借り、歩いて散歩することにした。
 なにせ、根性と勢いだけで渡米したので、私が持ってきた靴は??
真夏のデッキシューズ1足だけだったのである。(若さって怖い)
 

なにしろ、日差しが強い!!幼稚園の子供でもサングラスをするくら
いで、太陽に近いからかな??などと想像しながら、いよいよアメリカ
の国立公園に2本の足だけで踏み入れる時がきた!

なにしろ雪深い!!(笑)おばちゃんゴメーン、ブーツもうビッチャビチ
ャだあ。太もも近くまである雪をかき分けて私は進む・

かき分けて、進むこと1時間ほど・・・まだ誰も足を踏み入れてない雪
原に出る。もみの樹みたいな樹が兄弟のように並び、美しかった・・。
足跡がつかないように回り込みシャッターを押す。ホントに綺麗だった。
その後は、足跡をつけまくった(笑)



 翌日は昨日と違い、曇天で雪混じり。冬のイエローストーン観光は、
スノーモービルか、ご覧の俗称「タンク」と皆が呼んでいた雪上車で行
く。キャタピラで動き、前輪はスキーで出来ている。
 この乗り心地は?大きな声では言えないが、わ・る・い。クッションが
かなり悪く、路面の小さな凹凸も平気で拾い、腰が痛くなる。

          さ、早く乗り込んで、出発しますよー
 

 
今日の運転手は、ビルさん(だったかな?)。私は前座席に乗せてもらうこと
になった。英語があまり話せない私に彼はとても優しく接してくれた。


イエローストーンは、1972年に国立公園となりました。1988年の落雷
により山火事となり広大な敷地の30パーセントを消失しました。貴方たちが
訪れる2年前のことで、現在もまだまだ生々しく焦げた樹が乱立してい
ます。自然のサイクルとして、政府は山火事を放置しました。
この辺の地層を調べると、過去数度にわたって山火事が起き、
それから草原となり、また森へと変化していたことがわかって
いたそうです。
また公園内の主な樹木は「ロッジポールパイン」という松で・・・
そこまで言うと、ビルが叫んだ。
           「Look! Thats bears house!」

  
ブウ〜ンと2人組のスノーモービルが通過した後、ビルは続けた。
ロッジポールパインの種は2種類あります。ひとつは通常の松ぼっくりで、もう
ひとつが重要です。この松ぼっくりは113度にならないと種をまかない。つま
り山火事を待っているんです。その松ぼっくりが樹にぶら下がっているのは
ナント20年間。

       いやあビルさん、自然って不思議ですねー。

休憩所にて

そうこうするうちに、牛みたいな動物を度々見かけるようになった。
野生のバッファローだ。ここでは阿蘇山以上に普通にいる。当然牛優先である。
5〜6メートル位離れているが、野生はやはり怖い・・。

いくつか小さな滝を通過したり、何頭ものバッファローを見た後、
私は今日の宿泊地、オールド・フェイスフルに着いた。
間欠泉
実は、イエローストーンは火山地帯である。硫黄分を含んだ岩が黄
色く見えることからこの名がついた。真冬でも雪が積もらない箇所
が点在する。
この間欠泉は、世界一の規模を誇る。65分ごとに噴出するが、誤差は
±10分だとのこと。

    

 この地で、私は3日目の夜を迎えることになった。この日の夜は快晴で、しかも月は満月だったっけ・・。シャワーを浴び、暖まった所で
外に出て、コップに、ここの雪を入れ、ジャックダニエルを1杯飲んだ。それこそ至福の時だった。
日本から1人で見知らぬ土地に来て満月見ながら飲む酒・・・月は日本で見るのと同じ模様だったように思う。ちゃんとウサギさんもい
たし・・・